NPO「国際環境経済研究所」所長の山本隆三氏は、日本では洋上風力は不向きで、安定供給できる火力発電を進めるべきだと考える。「プーチン大統領のウクライナ侵攻で、欧米や日本がロシア産の化石エネルギーを買わなくなった。その結果、天然ガスや石炭の価格が爆上がりした。日本では電気の3割を石炭で作っているが、石炭は約10倍になった。ヨーロッパはもっと上がった」。
加えて「資材価格もインフレで爆上がりした」ことも要因で、「欧米では洋上風力の資材価格が、約4割上がったと言われている。当初見込んだ投資額から4割増えるとなると、いろんな会社が撤退する。『なぜ洋上風力だけやめるのか』と言うが、洋上風力はコンクリートやセメントを使うため、発電量あたりの資材の使用量が、実は電源設備で一番多い」と解説する。
では、なぜ洋上風力発電を行う必要があるのか。「理由は『自給率の上昇』と、『温暖化対策のために二酸化炭素を出さないこと』だ。再エネの発電コストは、ほぼ初期投資額で決まる。洋上風力では、年間のメンテナンスコストは売電の2〜3割程度で、残りは投資に対するリターンだ。そのため、初期投資額が膨れるとどうにもならない。また、大量のセメントと鉄を使い、その際に大量の二酸化炭素を出しているため、再エネはエコではないとも言われている」。
日本政府は、将来的に「再エネ比率5割」を目指しているが、これには「実現は非常に厳しい」と見ている。「日本の自然条件や発電コストが、残念ながら欧米に比べると適していない。そこにインフレの影響で、資材価格が下がらず、発電コストが上がる状況が続いている。『国策だから』とはいえ、民間企業には株主も従業員も、取引先もいるため、明らかにもうからない事業は難しい」。
ひろゆき氏は「『発電したらいくら』という入札方法が間違っている。『この規模で発電効率がいいものを作り、一定基準を達成すればお金を出す』形が望ましい」とアドバイスする。「NASAは『10万キロ飛べるロケットをつくった会社にお金をあげる』とした。誰でもいいものを作った人にお金をあげればいい。いろんな会社が作って、より良いものを研究する」。
そして、「将来的に日本国内でエネルギーを作り出せないと、『円安の物価高で何もできない』という悪循環に入ってしまうため、研究開発にはお金を使うという思想になってもらった方がいい」と求めた。
(『ABEMA Prime』より)
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